サレ夫とは?具体的な特徴と対処法、離婚や慰謝料を請求する方法も解説

「サレ夫」という言葉を聞いたことがありますか?
読み方は「されお」です。

妻に不倫「サレ」た夫のことで、2006年ごろからインターネット上で使われはじめた俗語で、その後ドラマなどで見かけるようになりました。
不倫というテーマをコンテンツとして楽しむ人がいるのは世の常ですが、当事者にとって配偶者の不倫は深刻な問題です。

このコラムでは、サレ夫の特徴や実態に加え、サレ夫になってしまったときの対処法、やってはいけないこと、慰謝料の請求方法などについて弁護士が解説します。

サレ夫とは?その実態と特徴

「サレ夫」とは、妻に不倫される夫のことで、不倫の話題にはよく「サレ」「シタ」という言葉が出てきます。
妻に不倫される夫のことを「サレ夫」というほかにも、不倫した夫は「シタ夫」、不倫される妻を「サレ妻」、不倫した妻を「シタ妻」というように使われることもあるようです。
さまざまな統計を見る限り、男女の不倫の割合は依然男性の方が多いようですが、どうやら女性の不倫は年々増える傾向にあるようで、「サレ夫」は注目ワードともいえそうです。

(1)サレ夫の実態

不倫される「サレ夫」の増加には、次のような社会的変化も影響しているようです。

  • 女性の社会進出に伴い、妻の側に夫以外の男性との出会いの機会が増えたこと
  • 女性の生活能力が向上し、離婚をしても自活できるため不倫へのハードルが低くなっていること

特に女性は40代くらいから男性ホルモンが増加し性欲も同時にピークを迎えることもあり、不倫してしまう確率が高くなるといわれます。
一般的に、多くはこの年代で子育てが一段落することも影響しているでしょう。

また、不倫に限らず男女の交際では、男性が交際にかかる支出を負担するケースがまだ多い傾向があります。そのため、夫の不倫は支出を伴うことから家庭にバレやすく、逆に妻の不倫は「身軽にできる」という事情もあるようです。

(2)サレ夫になりやすい人の特徴

妻に不倫をされてしまった「サレ夫」は、不倫の被害者です。
「不倫される側にも責任がある」などというのは酷というもの。
とはいえ、夫婦関係は相手あってのものです。
一般的に「サレ夫」になる人には、次の特徴が見受けられるようです。

【真面目】

マジメであることは素晴らしいことです。
しかし、長く続く男女関係においてはお互いに刺激し合うこともまた大切です。
マジメであることにあぐらをかき、相手を楽しませる努力を怠ってはいないでしょうか。

【倹約家】

お金を大切にすることもまた、美徳といえるでしょう。
しかし経済観念はさまざまですから、夫婦間で異なっても不思議ではありません。
結婚前にはお金を使って妻と楽しんでいた経験があるのなら、当時とのギャップで妻にストレスがかかっていませんか?

【仕事最優先で育児や家事を手伝わない】

家庭や子育てのことを相談できない夫から、妻の心が離れていくのはごく自然なことです。
結果的にほかの人に心が向いてしまうこともあるでしょう。

【感謝や愛情表現が足りない】

感謝や愛情表現の言葉が足りなければ、妻は不安に思うものです。
そこに、別の相手から愛情あふれる優しい言葉を掛けられれば、不安な心は揺らいでしまうかもしれません。

妻が不倫しているのではないか不安な方は「あなたのご主人(奥さま)は、大丈夫?浮気度チェックリスト!」もご覧ください。

自分がサレ夫と気づいたときの対処法

妻が不倫していると気づいたら、どのような対処法や選択肢があるのでしょうか?
自分が「サレ夫」になってしまった際の注意点もあわせて見ていきましょう。

(1)妻の不倫の証拠を集める

まずは落ち着いて、妻の不倫の証拠を集めましょう。
いくら不倫していると感じていても、そのような証拠がない限り相手が不倫の事実を認めるとは限りません。それでは誠実な話合いすら困難です。
相手と話し合うにしろ、戦うにしろ、まずは効果的な証拠をつかんでおく必要があるのです。

不倫の証拠としては、性行為の存在をうかがわせるLINEのやり取りや、ホテルに出入りする写真などがよく使われます。
このような証拠を自分で集めることが難しければ、弁護士や専門の調査会社に依頼するのもひとつの手段です。

ただ、勝手に妻のスマホを見るなどといった行為は、プライバシー侵害として責任を追及される可能性もありますので、調査は慎重に行ってください。

証拠の集め方については「浮気・不倫の慰謝料請求で有利な証拠とは?証拠の例と集め方を解説!」をご覧ください。

(2)離婚する

妻に不倫され、「サレ夫」になってしまった場合、離婚するという選択肢もあります。
次の項目でも触れますが、不倫された場合、離婚してもしなくても慰謝料請求は可能です。
しかし、不倫が原因で離婚に至った場合のほうが、受け取れる金額の相場は高くなる傾向にあります。

繰り返しになりますが、少しでも有利な条件で離婚するためにも、争いになったときに備えて不倫の証拠はつかんでおくようにしましょう

(3)慰謝料請求する

「サレ夫」が妻の不倫に対して何らかのアクションをするのであれば、「慰謝料請求」がおすすめです。

不貞行為(基本的には性行為を伴う不倫のこと)の事実があれば、妻と不倫相手に慰謝料を請求できます。
また、どちらか一方だけに請求してもかまいません。

離婚せず、夫婦関係を再構築する選択をした場合には、不倫相手だけに慰謝料を請求することが多いようです。
「お金で解決できる問題ではない」と感じるかもしれませんが、慰謝料を請求することによって、妻や不倫相手に対して「不倫は許さない」という強い気持ちを伝える効果は期待できます。

サレ夫が慰謝料を請求する方法

それでは、慰謝料請求の具体的な方法を解説します。

(1)内容証明郵便を送付する

内容証明郵便により慰謝料の請求書を送付する方法があります。
これは法律上の手続として必要なわけではなく、必ずしも慰謝料請求に内容証明郵便を利用する必要はありません。
内容証明郵便は、郵便局が「誰が、誰に、いつ、どのような内容の文書を送ったか」ということを証明してくれる郵便です。
そのため、裁判になった際に、どのような内容の文書を送ったかについての証拠として利用できます。

このように内容証明郵便は裁判を念頭に置いた方法であるため、受け取った相手は裁判を意識しやすくなります。
それが相手にプレッシャーを与え、こちらが本気であることが伝わりやすいため、相手が請求や話合いに応じる可能性が高まるでしょう。

内容証明郵便で送付する書面に記載する内容は、一般的に次のとおりです。

  • 不貞行為の事実
  • 不貞行為が法律に違反すること
  • 請求する内容(慰謝料の支払いや今後の接触禁止など)
  • 要求に応じない場合の法的措置

(2)弁護士に依頼する

内容証明郵便による請求も含め、請求にかかる交渉を弁護士に依頼することもできます。
弁護士は、書面の送付や電話等を用いた口頭での交渉など、場面に応じて効果的な方法を選び相手と交渉を行います。

妻に不倫をされたことによる精神的なショックは大きいものでしょう。
弁護士に依頼すれば、不倫相手と直接やり取りする必要がなく、裁判になった場合にも基本的に手続を任せてしまえるので、精神的・肉体的な負担が軽減できるといったメリットもあります。

詳しくは「弁護士に慰謝料問題を依頼するメリット」もご覧ください。

(3)裁判を起こす

交渉が決裂した場合、裁判を起こして慰謝料請求することになるでしょう。
裁判では、裁判所に訴状や不貞行為の証拠などを提出します。
また、こちらの法的主張をまとめた書面の提出なども必要です。

これらは、法律の知識と裁判経験がない人にとってはかなりの負担となるため、裁判を有利に進めるためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。

不倫相手に慰謝料請求するときの注意点(求償権について)

妻には慰謝料を請求せず、不倫相手にのみ慰謝料を請求したいと考えている場合には、特に「求償権(きゅうしょうけん)」にご注意ください。

不倫における「求償権」とは、不倫当事者の一方が被害者に対して慰謝料を支払った場合に、他方当事者に対して、「支払った慰謝料のうち一部を負担してほしい」と請求する権利のことです。

妻と不倫相手は、それぞれが慰謝料を支払う義務を負います。
そのため、被害者に対して「悪いのは自分だけではないから、請求されている金額のうちの一部しか支払いたくない」という反論は認められていません。

一方、不倫は一人でできるものではなく、どちらか一方だけが100%悪いというものではないのが通常です。
そこで、不倫当事者間においては、求償権が行使されることがあるのです。

どうして、求償権について注意が必要なのですか?
被害者である私には関係ないと思うのですが…

求償権を行使されるのはあくまで不倫当事者ですので、「妻が求償権を行使されても問題ない」という場合、気にする必要はありません。
ただ、離婚しない場合には夫婦の家計が同一であることも多いため、実質的には獲得した慰謝料の一部が家計から出て行ってしまう可能性があることを知っておきましょう。

なお、求償権を行使される可能性があるからといって、不倫相手への慰謝料請求に妻の同意が必要になることはありません。
ただ、離婚せずに今後も夫婦関係を維持するつもりであるならば、あとから妻とトラブルにならないよう、あらかじめ妻に確認を取って取っておく選択肢もあるでしょう。

交渉次第では、不倫相手との間で「あとから求償権を行使しない」という約束ができることもあります!

詳しくは「求償権とは?」もご覧ください。

サレ夫だと気づいてもやってはいけないこと

不倫の被害者であるとはいえ、やってはいけないことがあります。
サレ夫になった場合のNG行動について見ていきましょう。

(1)感情的になる

まず前提として、妻に対して逆上したり暴力を振るったりしてはいけません。

このような対応は、慰謝料を請求する際に不利になるうえ、逆に妻からモラハラやDVなどを理由とする慰謝料や離婚を請求される可能性もあります。
妻と離婚するにしても、許してやり直すにしても、将来的にマイナスになる行為です。

まずは落ち着きましょう。

(2)自分も不倫する

妻に制裁を加える目的で「自分も不倫し返す」といった選択肢も排除してください。
あなたが逆に不倫の慰謝料請求をされてしまうおそれがあります。
たとえばあなたの不倫相手も既婚者だった場合、自分の妻からだけでなく、不倫相手の夫からも慰謝料を請求されてしまうかもしれません。

(3)不倫相手に報復しようとする

周囲に不倫をばらしたり、勤務先や家に押しかけたりするなどという方法で仕返ししようすることもやめてください。
もちろん、暴力をふるうことも絶対にやめましょう。

いずれも、民事上の責任だけでなく刑事上の責任を問われかねない行為です。

一方、慰謝料請求は法的に認められた権利です。
不倫相手に責任を取らせたいのであれば、慰謝料を請求することをおすすめします。

【まとめ】サレ夫は不倫の被害者!妻の不倫に悩んだら慰謝料請求を検討しよう

「サレ夫」とは妻に不倫された夫のことで、真面目で倹約家な男性がサレ夫になることも多いようです。
自分がサレ夫と気づいたら、感情的に問い詰めることはせず、冷静になって妻の不倫の証拠を集めるようにしてください。

不貞行為(性行為)の事実があれば、基本的に妻と不倫相手の双方に慰謝料を請求することができます。
不倫相手と直接交渉することや、裁判には負担が大きいため、弁護士に依頼することも検討すべきでしょう。

不倫されて慰謝料請求しようかお悩みの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。

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この記事の監修弁護士
池田 貴之
弁護士 池田 貴之

私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。

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